目の前の仕事を楽しむ繰り返しが、キャリアを創る──グロービスのリーダーのカタチ
明確なキャリアプランがない──そう悩むビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。グロービスで研修オペレーション業務を担う大久保さん。「やりたいことが明確にあるわけではなく、目立つことも苦手」と言いながらも、自分らしいキャリアを築いています。そんな大久保さんの仕事への向き合い方に迫ります。
人をサポートすることが喜びに。やりがいを起点に転職
グロービスにはさまざまな業界・職種の経験者が活躍していますが、大久保さんもまた特異なキャリアの持ち主。
宝飾品の販売員として働いた後、ネイルサロンで事務とレセプションを兼務。その後、キャリアコンサルティング会社に営業アシスタントとして入社。そこで初めてオフィスワークを経験しました。
大久保 それまで接客がメインだったので、ビジネスメールの書き方さえわからないところからのスタートでしたが、人をサポートするのがもともと好きなこともあって、営業アシスタントはすぐに自分に合った仕事だと感じました。自分がアシスタントとして担当した営業の方が表彰されたときはとても嬉しかったです。
人とコミュニケーションを取るのが好きで、人を助けたり喜んでもらえることに達成感を得てきたという大久保さん。より活躍できる環境を求めて、前職と同じ人材業界で転職先を探して出会ったのがグロービスでした。
大久保 HPを見てまずビジョンに共感しました。またグロービス・ウェイ(基本的理念・指針)なるものがあることを知り、私もこういった価値観を大切にしながら働きたいと思い、グロービスの一員になりたい気持ちが強くなりました。営業アシスタントの経験が活かせるポジションでの募集へ応募し、現在に至っています。
「自分の後行程はすべてお客様」──相手や状況に合わせて臨機応変な仕事を
入社後、大久保さんが配属されたのはPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)。コンサルタントによる案件獲得後、円滑に研修を運営すべくオペレーションや業務改善を一手に担うチームです。
はじめはわからないことだらけの状態ながらも、最初から楽しく仕事に取り組めていたと言います。
大久保
私たちの仕事は、円滑に研修を運営するというゴールこそ決まっているものの、そこにたどり着くまでのアプローチは、ある種自由に考えることができます。
小さいところでは、たとえば、コンサルタントが作成する資料の期日設定。『研修の何日前までに作成』と大まかな目安はあるものの、早めに準備しておきたいタイプ、期限ギリギリまで練り直したいなど、タイプに応じてスケジュールを考えています。
社内だけでなく、クライアントの担当者のタイプもさまざまです。向き合う相手に合わせて、疑問に思うであろうことを事前に想定して丁寧に案内したり、長文を読むのが苦手な方には要点をまとめて簡潔に案内したりして、コミュニケーションやアウトプットを、自分で考えて柔軟に変えられるんです。
面倒にも思えるこうしたアレンジに積極的な理由について、こう話します。
大久保
決まりきった対応をするのではなく、相手の特性や状況に合う対応をした方が、案件がスムーズに進むことが多いです。そのときは少し時間がかかったとしてもその先を見越して未来の自分を動きやすくするためだと思って取り組んでいます。
また、自分で最適と思えるやり方を選べるところがおもしろいですし、思い描いた通りに進むと、たしかな手ごたえを感じます。
こうしたスタンスの原点にあるのが、新卒時、上司からかけられた言葉。
大久保 『自分の後工程はお客様』と言われたんです。1人で完結する仕事ってほとんどなく、自分の仕事の先には後続があり、顧客や受講者、コンサルタントに影響しています。自分の役割をただこなすだけでなく、これを見た/受け取った人がどう思うか?に考えを巡らせることで丁寧な仕事を心がけるようになりました。それが後工程のスムーズさにもつながって、結果的に関係者みんなが気持ち良く働くことができるのかなって。
もうひとつ、大久保さんが大切にしてことは、“確実に及第点を取る”こと。
大久保
研修運営は、滞りなくできて当たり前。小さなミスでもマイナスの印象を与える仕事なので、まずは相手の期待を下回らないことがとても大事です。
もちろん期待を上回ってクライアントに喜ばれるに越したことはありませんが、最終的な価値や成果は、オペレーションだけでなく、研修設計や講師のパフォーマンスによるところが少なくありません。私たちPMOの役割はその土台作り。担当するすべての案件に責任を持ち、“当たり前”を確実に実現することをめざして仕事に取り組んでいます。
引っ張ることは苦手。メンバーと共に成長していけるリーダーに
今でこそチーム運営を積極的に自分事として考えている大久保さんですが、当初はそういった思考が弱かったと話します。転機となったのは、チームユニットのサブリーダーに就任したことでした。
大久保 自身のチームやユニットを活性化させることを考えるようになったのは、正直、サブリーダーになってからなんです。ユニットを良い状態に保てるかどうかは、リーダーのコンディションも影響すると考えます。リーダーが元気であればポジティブな空気が伝播しユニットもおのずと活発になるので、当時はユニットリーダーにいつも前向きでいてもらえるようなサポートを心がけていました。
サブリーダーに適性を感じていましたが、2022年10月から、大久保さんはユニットリーダーを任されます。覚悟を決めて臨んだものの、想像以上の大変さがあったと言います。
大久保 ユニットリーダーになると、自分のユニットだけでなく、PMO全体のマネジメントにも携わります。ユニット単位であればメンバーは5人ほどですが、チームとなると30人規模。全体の状況を把握しながら、チームとしてのビジョンや、メンバーの成長を考えることに、責任の重さを感じています。
不慣れな中、リーダーとしてのミッションに取り組む大久保さん。めざしているリーダー像があります。
大久保 『リーダーだからすべて1人でやらなければ』とは思わないようにしています。それはひとつの仕事をとっても同じで、1人でできることは多くはないからです。リーダーだからと大きく見せず、メンバーを巻き込み、助け合うチームづくりを心がけていています。
“メンバーと一緒に”というスタイルを貫く大久保さん。
メンバーにも、気負わずに仕事に取り組み、チャレンジしてほしいと言います。
大久保
私たちのチームは、真面目で責任感が強い方が多いです。その分、『完璧なものでないと……』と思い詰めてしまったり、1人で背負い込んでしまうこともあります。
でも、すぐに100点は取れなくて当たり前だし、仕事をしていたらミスも発生しますよね。だからこそ、あまり気負わず仕事をしてほしいと思うんです。
もちろんミスをしないように心がけますが、ひとつのミスが命取りになるわけじゃありません。失敗を恐れず、たとえ満点のものが出せなかったとしても、周りからフィードバックをもらううちに徐々に良いアウトプットを出していく。そうすれば巻き返しもできますしチャレンジを通してできることを増やしていく過程を楽みながら、チーム全体で成長していけたらと思っています。
とはいえ、業績好調の中、任される量は増えているのが現状。
だからこそPMOでは、生産性向上をめざした業務改革にも積極的に取り組んでいます。
大久保
担当案件数が増える中で、同じ業務方法のままでは、純粋に労働時間が増えるだけです。私だってプライベートを大事にしたい(笑)。
業務量が増えても、安定した研修オペレーションを提供し、かつ自分たちもプライベートを大切にしながら働くために、オペレーションの標準化やデジタル化に向けても、自分たちで業務改革を進め、より働きやすい環境をつくっているところです。
明確なビジョンがなくてもいい。目の前のチャンスを大切にしながらキャリアを築く
業務改革についても、リーダー陣だけが担うのではなく、メンバーが主体となって改善案を考え、他部署と連携しながら進めています。そんなPMOにフィットする人材像について大久保さんはこう話します。
大久保 マニュアル通りに遂行することにやりがいを感じる方よりは、ゴールを達成するために必要なアクションを自分で考え実行するプロセスを楽しめる方が向いていると思います。あとは、前例にとらわれない方。これまでの実績の中から手段を選ぶ必要はありません。より良いと思えるやり方を模索し続けていける方がPMOに合っているのではないでしょうか。
2023年度もユニットリーダーを担う大久保さん。じつは、明確なキャリアプランに向かって突き進んできたタイプではないと言います。
大久保
PMOに在籍する30人のメンバーの中には、やりたいことが明確にあるメンバーもいれば、私のようにいわゆるトレッキング型のメンバーもいます。というのも、私には、どうなりたいか、という明確な姿があったわけではないんです。
でもだからこそ、来たものを拒まず、得られる機会はありがたく受け取ってきました。その過程で、自分では選択しないことも経験しながら成長する、その繰り返しを経て、今があると思っています。
『リーダー志向ではない大久保さんのようなタイプでも、リーダー職にやりがいを持って務められる』とメンバーに感じてもらうことで、キャリアの在り方を考える一例にしてもらえたら嬉しいです。
目の前のミッションを楽しみながら全力で取り組むことでキャリアを築いてきた大久保さん。
肩肘張らず自分らしさを大事にしながら仕事と向き合ってきた彼女が、これからどんな境地へと行き着くのか。楽しみでなりません。
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【今回の記事に関わる情報】
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